バルブレア蒸留所はスコットランド屈指の古い歴史ある蒸留所です。1790年の設立で、そのころ日本では、まだ若き葛飾北斎が筆を振るっていた時代です。

時を経て70歳を超え、北斎は有名な「富嶽三十六景」を刊行しますが、その頃に描かれたのが、「諸国瀧廻り」です。全８図からなるシリーズで、諸国の名瀑を題材に水の表現に挑んだ作品と言われ、水というとらえがたい対象物を自由自在に描き分ける北斎独自のデザイン力がいかんなく発揮されているところが見どころです。

WHISKY MEWでは、この「諸国瀧廻り」のうち、過去に5作品をリリースしましたが、6本目として「東都葵ヶ岡の滝」をラベルにして、発売します。「東都葵ヶ岡の滝」は、現在の東京都港区赤坂溜池あたりを描いたもので、静寂な溜池から落下する滝の水を点描で描き、その先に泡立つ水まで見事に表現しています。

今回、山岡秀雄が選んだウイスキーは「バルブレア2011」。その歴史とともに、北ハイランド地方の典型的な風景に見事に溶け込んだ蒸留所としても知られ、映画やテレビのロケ地としてたびたび登場します。発酵や蒸留に時間をかけるなど、急ぐことをしない、時間を活用することを信条に、長い歴史と伝統を守り続けている蒸留所です。

世界的絵師の名作にふさわしい、絵になる蒸留所のウイスキーをお愉しみください。