世界的に有名なあの写真がラベルに――
篠山紀信×ジョン&ヨーコ×肥土伊知郎 が紡ぐウイスキー
1980年9月、写真家・篠山紀信がニューヨークに招かれ、ジョン・レノンとオノ・ヨーコを撮影した。ジョンにとっては5年ぶりとなり、ヨーコとの共作のアルバム、『ダブル・ファンタジー』のアルバムジャケットの撮影のために。
アルバム『ダブル・ファンタジー』のコンセプトは“対話”。ふたりの間で交わされる音楽での会話のようなもの。篠山の撮影のアプローチはいつでも、親密でフレンドリーな雰囲気をつくるだけで、ごく自然体でいる瞬間をとらえる。ジョンとは当時同い年の40歳、個人的な会話もしながら、ダコタハウスで息子のショーンも含めた家族としての姿も撮ることもでき、5日間の滞在で約800枚の写真をカメラに収めた。
その中の1枚、日は沈んでいたがまだ空は明るかったという時刻に、セントラルパークの池で撮った、のちに世界的に有名となるこの写真。篠山が、「キスをしてくれと注文すると、そのとおりにしてくれた。それはあまりに美しく、とても親密で、まるで日常の1コマのような瞬間でした。パーフェクトな瞬間だった」と語るように、やさしさ溢れる美しい瞬間が収まった。この写真は『ダブル・ファンタジー』のアルバムジャケットに採用された。
この1枚とアザーカットとなる1枚にふさわしいウイスキーと考えたとき、ウイスキー評論家の山岡秀雄は、スコッチとジャパニーズが美しく融和したブレンドウイスキーがいいと思いついた。撮影から43年経っても色褪せない、時の重みと、篠山を含めた3人の融和に思いを馳せ、秩父蒸溜所の肥土伊知郎に「平和を願うコンセプトで、ウイスキーをブレンドしてくれませんか」と依頼した。篠山は、幼少期に秩父に疎開していたこともあり、そんな縁のある秩父でのウイスキー造りに賛成した。
- ①スタンダード(黒)のボトルには、全期間で5~21年熟成の原酒のブレンド。秩父蒸溜所で後熟して全期間で5~21年熟成した複数のスコッチのモルトウイスキーと、秩父蒸溜所で5~11年熟成したモルトウイスキーをブレンドしたもの。きれいでやさしさのある、写真の雰囲気を表現した1本に仕上がっている。
- ②プレミアム(白)のボトルには、7年熟成の秩父と、21~25年熟成のスコッチのモルトウイスキーをブレンドし、そこに秘蔵の47年熟成のウイスキーを3%加えた。その秘蔵のウイスキーとは、いまも秩父蒸溜所の熟成庫にあり、76年の川崎蒸溜所のグレーンと、同じく76年蒸溜のスペイサイドのウイスキーがヴァッテッドされたものだ。このスペイサイドの蒸溜所の76年蒸溜のウイスキーは、トロピカルなフレーバーを特徴としている。
川崎蒸溜所とは、1969年からグレーンウイスキーを造り始めた蒸溜所で、すでに閉鎖された蒸溜所。2000年代に肥土伊知郎は最後に残った76~82年の樽を購入している。
篠山も好きなオリエンタルなフレーバーがかすかに感じとれ、日本文化に感銘を受けたジョンもきっと気に入ってくれるのではないかと想像する。
写真の物語から紡がれたこのウイスキー。ぜひ封を開けて、対話を大切にし、平和を願うコラボレーションに酔いしれる時間を楽しんでほしい。
この企画をにこやかに快諾し、ボトルの完成を楽しみにしてくれていた篠山紀信さんに感謝を捧げます。
①Black・Standard
(ICHIRO'S MALT)
総本数1200本。700ml。
熟成年数5~21年。アルコール度数48%。
税込み 27,500円
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②White・Premium
(ICHIRO'S MALT & GRAIN)
総本数300本。700ml。
熟成年数7~47年。アルコール度数58%。
税込み 55,000円
テイスティングコメント