葛飾北斎が描いた揃物八図の「諸国瀧廻り」。八図の中の、和州（現在の奈良県）で義経が馬を洗ったという言い伝えが残る伝説の滝を描いた「和州吉野義経馬洗滝」をまとった、「スペイサイド・リージョン・モルト 1973」。
　蒸留所の名は明かせないが、スペイサイドで家族経営を続ける蒸留所のモルトで、シェリーを長期熟成したアメリカンオークの樽で43年間熟成したもの。洋ナシ、柑橘類、マスカット、イチゴなどさまざまな果実の芳醇な香りがするのが特徴。43年もの長期熟成かつ47.1％の度数が維持されている。著名な瓶詰め業者のカールステン・エールリッヒ氏が手がけたスペイサイド・リージョン・モルトの中でも、最高の傑作である。
　北斎が描く水しぶきをあげて蛇行する滝を眺めながら、スペイ川生まれの渾身の一滴を味わっていただきたい。